成長するにはマゾになるしかない
僕は練習が好きだ。もっといえば、練習している自分が好きだ。もう、ハタから見ればほんとうに気持ちが悪い性分だとは思うのだが、練習に没頭することがたまらなく快感なのである。
地獄のメカニカルトレーニング
地獄のメカニカルトレーニング、というギターの教則本がある。おもにエレキギター中級者向けの教本で、メタルやハードロックの速弾きギターを練習するための本です。
おもえば、自分の練習フェチみたいな性癖はここから自覚されたと思われます。エレキギターをはじめて手にしたのが17歳の5月。そこから一か月ひたすらコードを練習していた僕は、それだけでは物足りなくなってメタラーになりたいと一念発起。友人から借りたのが『地獄のメカニカルトレーニング』だったのですな。
その当時、ギター歴一か月。こないだGペン握りましたみたいなひよっこが、大暮維人のアシスタントに入るぐらいの無茶です。
案の定僕は、教本の1ページ目に夏休みを費やしました。高校2年の夏。友達と海にいくでもなく、彼女をつくるでもなく、ひたすらデロレロピロリロリロリロロと鋼鉄製の弦に指をはわせる毎日。気が狂っていました。
あまりに弾けなくて、ギターをぶん投げようと思ったことが何度もありました。しかし、今となっては速弾きはできないものの、弾こうと思ったフレーズはだいたい弾ける程度にはなりました。その礎となっているのが、間違いなくあの夏の日々だったといえるでしょう。
武士道は、シグルイである。一見すれば狂気、マゾヒスティックなほど自己を痛めつけるような練習が、きっと功を奏すことがある。やり方次第だとは思いますが、とにかくマゾになってやり続けることが必要なこともあるのだと思う。封建社会の完成系はごく少数のサディストと、多数のマゾヒストによって構成されるのだ。
上手くなりたいのなら、変態であれ
そんな僕でありますが時たま、他人から変人扱いされることがある。僕からすればそんなことを考えているヒマ人の方がよっぽど変人だし、僕程度の人間が変人に見えるなんて、どんな清廉潔白な人格を培ってきたんだ、と憤慨せざるを得ない。お前んちはNHKしか観ないのか。
とにかく、変態的にものごとにこだわることは必須だ。もう、三度の飯や風呂よりも必要だ。睡眠はのぞく。
かまやつも言っていた。「何かに凝らなくちゃダメだ」と。
ものごとにこだわり、こだわり、こだわり尽くしてこそ、本質というものが見えるのではないか。それは、ソレに費やした時間と量。おそらく「才能がある人」というのは、短時間でものすごい量をこなせている人間が出した結果に対してつけられる称号なのだと、最近思う。若くして結果を残している人間を「才能があっていいね」みたいに言うヤツがいますが、そんな奴は肉だ。ダメなラッパーが肉なのと同じだ。
そんな奴には、「お前tofubeatsと同じくらい音楽まみれになる覚悟あんの?」と言いたい。
てゆか毎日おんが~く~でっ
tofubeatsみたいに若くして成功している人間のことを「才能」という言葉だけで片付ける奴は、根本的に間違っている。俺らがチンタラやってた10代半ばでMPC買って、僕らが想像つかないほど音楽に人生をブチ込んできたからこその、現在のtofubeatsなのだ。別にtofuさんが僕の友人というわけでもないし、ただめっちゃ好きだからというだけの理由なのだが、だからこそ。
「才能」と「考え方」
tofubeatsの自宅を見てもわかるように、玄関には個人輸入してまで手に入れたアシックスのスニーカーがズラリと並ぶ。もう、考え方が変態なのだ。音楽に費やしてきた情熱が、異様な熱をともなって考え方をかたちづくり、別のジャンルにも反映される。
圧倒的な情熱をともなって物事に取り組めば、他人とは異なるストイックで変態的な考え方が形成される。情熱が時間を圧縮して、そこに練習量を伴わせた結果として「才能」が生まれ、その足跡として「考え方」が残されるようなイメージ。片手間でヘロヘロやってる人間が、ルサンチマン丸出しでツイッターに恨み言書いてるあいだに、上手いやつはそいつが同じコトするよりもスピーディに練習を重ねるのだ。そうしてさらに、「考え方」が加速していく。
羽海野チカなんかは、自身を「究極にネガティブ」みたいに書いているけども、やはりそこには圧倒的な練習量とマゾヒズムが同席しているのだと思う。「友達がほしくて漫画を描いていた」のだそうだから、その孤独と熱量はそら恐ろしい。
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