手取り13万25歳の生き方
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最終更新日:2016/01/16
人生について
最近、自分は恵まれてる方なんだろーなーという風に感じる。何をいきなり、って思うかもしれませんが。
学生時代、奨学金を借りることもなくろくすっぽバイトもせずに大学を出て、就職をしました。不平不満はあるけれども、こうして毎日おもしろおかしく生きられているわけで、それはとても恵まれている。
『東京喰種』で舌を巻いた設定があって、それは喰種たちがロクな教育を受けられず文盲であることが多い、という設定です。人間社会で教育を受ける機会を喪失した喰種たちが、どのようにして生きてきたか、という設定がそのエピソードで上手に悲しく描写されている。
これと似たような話が、現実の裏社会を綿密に取材して監修された『ギャングース』にもある。『ギャングース』は少年院を飛び出した少年犯罪者たちが窃盗団を結成し、詐欺組織から金品を盗みまくるという痛快な現代風義賊漫画です。その主人公たちのうち一人、サイケと呼ばれるイケメンでグループの頭脳的存在が、常用漢字すら読めていないのですね。
字が読めないし書けない、というエピソードは、先ほども言ったようにものすごく効果的に主人公たちの出自を表します。教育を受けていないということです。それは物語上すごく効果的な演出だけれども、それゆえに現実の僕らとの差異が浮き彫りになって、どうしても悲しい。
現実の社会で、文字が読めない人間と遭遇することはあまりない。というか、今まで僕が生きてきて、経験がない。それは義務教育や高等教育といった機会の格差であるし、そのまま「生きてきた世界」の差でもある。
という序文を書きましたが、僕は手取り13万です。
手取り13万はヤバいか
端的に言うと、手取り13万あれば十分に生活は可能である。たいした身分証がなくとも、東京都内のシェアハウスで月4万~5万あれば宿を得られる。残った9万円のうち、5万くらいあれば社会保険・健康保険・年金といったライフラインが確保できる。(僕はいちおう会社員ということもあって、手取りのうちに保険料は含まれていない)
そこで残るのが4万円。豪勢な外食こそ不可能な金額ではあるものの、そこそこの食生活はできる。少なくとも、人間離れしたゴミクズのような暮らしは避けて通れる。
下を見る、と言っては失礼かもしれないが、手取り13万でも給料が出ているだけまぁマシか、という考え方も可能である。正直アホらしいけども、僕は色々と恵まれた環境にあると改めて思う。文字も書けるし読める。絵も人並みに描ける。
むしろ、いわゆる「社会人」(この言い方は大嫌いだが)になってからというもの、月20万の手取りをゲットしたことがない。それでいて、1か月前まで70万円貯金があったのだから、人生というのは摩訶不思議だ。やればできるもんである。今はパソコンとソフトシンセを買ったので、かなり貯金は減った。
手取り20万とか30万とかの人間は、どのような暮らしをしているのだろうか。毎日銀座で寿司でも食っているのだろうか。ちょっと想像がつかないところまできている。
「正社員だから最強」の時代ではない
僕のように、手取り13万円でもいわゆる正社員の地位を得ている人間もいる。正しくは、正社員だけど手取り13万円といった方がしっくりくる。
この話を他人にすると、「お前それバイトでよくね?」とよく言われる。
まったくもってその通りなのである。
思えば僕も、正社員という肩書を手に入れるべく就職活動をしたのですが、その先に待ち受けていたのは手取り13万円だった。会社はいつ潰れるやもわからんし、10年経っても手取りが20万を超える話は聞かない。
正社員だから、病気か何かで休んでも月給が出るというのはメリットでもある。しかし、それも1年ぐらいの期間であるし、ましてや大病を患ってくたばったりでもすれば、給与がどうとかの話ではない。死ぬのだ。3寸斬りこめば、人は死ぬのだ(シグルイ)。
だったら、正社員という肩書は何のためにあるのかと言われれば、かりそめの安心というただそれだけの意味合いしか持たないことに気付く。
働き方とかどうでもいい
もう、正社員じゃなきゃダメとか、フリーターじゃお先真っ暗、といった意見はクソなように思える。そういう考えは昭和において来るべきである。
フリーターでも税金収めてる奴、収めてない奴がいる。会社員でも脱税してたりするのだ。ロクに技術もないまま会社にしがみつき、気づけば30代半ば、転職のアテはZERO、とかいう人間もいる。
もうなんか、そういうこだわりがクソほどにどうでもいい。だから何なのだ、という気がする。文化的に生きられればもう何だっていい。
だから、就職できなきゃダメとかそういう世迷言は、ゴミ箱に全力投球だ。俺たちは生きている。これを書いてる俺も生きているし、読んでるあんただって生きている。その命を楽しく使うべきなのだ。
そういう生き方へ、気持ちよく向かっていくために、俺は漫画を描くのである。
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