最新版「激しい音楽」って何ぞや
激しい音楽の神髄とは何なのだろう。
激しさの定義と、激しさの最新型について考えたい。
※クッソ長いうえに重いです。ヒマな時に読んでください。
音楽知ったかクソ野郎ことカルロス袴田ちゃんです。
音楽詳しい人ってほんとすげーなぁ、と思います。
自分とて知らない人よりは詳しいわけですが、
それでもとんでもない異常な知識量の人を見ると足がすくみます。
音楽ファンってそういう序列というか、
「自分より詳しい相手怖い」みたいな思い込みありますよね。
俺だけ?
まぁいいです。
・激しい音楽、って何だ。
まず激しい音楽を考えるうえで、
激しさとは何なのだろうかを考えたい。
僕らは普段音楽を聴いたとき、
何をもって「うわ、これ激しーなぁ!」とニヤつくのだろう。
①速い
これがダブステの流行以前は大前提だったと思う。
たとえばドラゴンフォースは速い。
バカじゃないのってぐらい速い。たぶんバカなんだと思う(良い意味で)。
メロディックスピードメタル、略してメロスピなんて呼ばれるほどですので、
名前のとおり速いことは明白です。
単純な速さでいえば、メロスピよりも速いスピードコアというジャンルもある。
ここまでくると、もうノるというよりも
「ただ存在に圧倒される」みたいな感覚に近い。
②うるさい
これもかなり大きな要素だ。
うるささ、というものを考えるとやはりノイズミュージックに行き当たる。
人によっては「音楽」と認識することも不可能なジャンルであり、
音楽の三要素から完全に解離した存在である。
ただ、ひたすらに激しい。
ダンスミュージックというジャンルが、
踊るという機能性に特化したものであるとすれば、
ノイズミュージックはより原始的な、
音楽の構造の奥にある快楽のブラックボックスに直接手を突っ込むような、
そんな禁断の果実的なヤバさがある。
ちなみにシューゲイザーというジャンルも、
ロックの中にありつつノイズミュージックとの融合を果たさんとしている。
考えるな、感じろって話。
③なんか悪そう!
ここ20年ほどで、
「悪そうな音楽」の覇権を一手に引き受けたのは、
間違いなくヒップホップである。
KOHHなんて見た目がとんでもないし、生い立ちもハードだ。
インタビューとか見ると優しそうな青年ですが、
やってる音楽はいかつい。
クールなラップに時折混ぜ込まれる素っ頓狂な声が、
得体のしれない恐怖を感じる。
怖いといえばSLIPKNOTなんかも、
見た目が完全にホラー映画なわけで良いのですが、
ここは天下のマリリンマンソンを挙げたい。
この人は怖いというか、
よく分からない。
本能的な恐怖を煽る白塗りの出で立ちですとか、
どうやったらそんな声が出るんですかと聞きたくなる発声。
全てが猟奇的。
関係ないけど涅マユリを描いているときの久保先生が一番輝いていると思う。
・「激しい音楽」が遅くなった瞬間
ヒップホップの台頭から、
それまでの「激しい音楽」の勢力図は一変した。
不良の音楽(=怖い音楽)がバンド音楽だった時代から、
不良の音楽はギャング発祥の音楽になった。
暴走族からギャングへとヤンキー文化が変わったのを考えれば、
それも自然な話なわけです。
そして、突っ走るエイトビートで今宵もお前を乗せて真夏のタンデム
だった時代から、
いなたいサンプリングビートがクールな激しさの象徴となる。
(色々スっ飛ばしてるけど大体そんなもんだと思ってくれ)
で、クラブ音楽が2010年代に到達したのは、
簡単に言えばスクリレックスだった。
遅い。
どうせこっから速くなるんでしょ?
と思っているとキーボードクラッシャーの叫び声とともに、
今やエグザイル傘下の人たちの楽曲にまでも使われるほどスタンダードとなった、
凶悪なワブルベースが登場する。
このワブルパートが、
ザクザクに切り刻まれたサンプリングとグリッチ音と相まって、
現代の「激しい音楽」最新型になったと思われます。
余談・ロックの「激しい」最新型って何ぞや
現代のポップ音楽での最先端「激しい」は、
ダブステップ(スクリレックスをダブステと呼ぶと怒られるらしいですが)
ということで大体OKだと思うのですが、
僕らの大好きなロックにおける「激しさ」最新型って何なのでしょう。
スクリーモ系なんかは激しいですよね。
ピコリーモというのもあった。
あえてピコピコしたキュートな音を入れ込む、
いわゆる変態系の発想なわけですが、
これはなかなか激しい。
ちなみにピコリーモの原点は個人的にチルボドだと思う。
ピコピコはしてないものの、このシンセ遣いは明らかにピコリーモのヒントになっていると思える。
シンフォニック系のメタルとは違って、
明らかに「シンセでーーーーーーっす!!!」
と声高々に主張するかのようなシンセサウンドが、
逆に良い!という変態系の発想であると感じるからである。
a crowd of rebellionなんかはその手のバンドとしてはかなりブっ飛んでいてすげーなぁと思う。
メタルな音(=ロック界隈で未だに最強クラスの激しい音色)
にポップな要素を加える、という発想は
システムオブアダウンからマキシマムザホルモンへとうまいこと輸入され、
現在に至っていると思われる。
しかし、
メタル勢を除き、現在の日本語ロックは激しさを追求する方向ではなく、
どちらかといえばクールな方向へと進路を進めていると思われる。
地下室TIMESなんかでは、
『卑怯ドラム』と呼ばれる四つ打ちビートを多用するバンドが紹介されていますし、
暑苦しい激しさよりも、よりシャープでクールに踊らせるような、
いわばフェス需要を満たすような楽曲を作るバンドが多い印象でございます。
その中で、ゲスの極み乙女なんかはかなりファンキーだと思う。
ギターリフがサンプリングの如くループする感じであり、
まくしたてる高音ボーカルであり、
ベースがやたらとウネウネ気持ちよく動き、
踊れるフレージングながらも一筋縄でいかない練られたドラム(かわいい)、
ジャズっぽいピアノサウンド(←女子が好む)、
ドラムス・ほないこかちゃんがめっちゃかわいい
という、
ウケる要素満載バンドである。
ゲスをよりストイックにし、
歌詞の世界観をウシジマくんばりに殺伐とさせると、ハヌマーンになる。
ハヌマーンの歌詞がストイックというのはなんか語弊があるけども、
スリーピースという形態はやはりフィジカルな要素が強くなるので、
なんとなくストイックと表現してしまいました。
でもハヌマーンの音って世俗の煩悩から解き放たれようともがいているようで、
その姿勢がストイックに感じるのです。
いや俺がハヌマーン好きなだけなんですけど。
スリーピースとしてよりストイックというか、
生活感のなさ、超現実っぽい印象を与えるのが凛として時雨である。
サウンド的にもっとも激しい日本語ロックは時雨で良いのかもしれない。
そういえば時雨はFall of Troyに似ている、みたいな話をどっかで読みました。
単純に、「これ見つけた奴すげーな」と思ったのですが、
時雨はまた別物だなぁという感じです。
これもどっかで読んだのですが、
「時雨からLUNA SEAを感じる」
という意見は未だにしっくりきすぎて怖いです。
・終わりに
「激しい音楽」とは奥が深いものです。
今回挙げた基準の他にも、様々な「激しさ」があるでしょう。
僕にとってはTalking Headsなんかの得体のしれなさも激しいです。
激しい音楽とは、
僕にとっての「理想の何か」
でありますので、
今後とも精進していきたいと思います。
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