「こうじゃなきゃ駄目」って考えるのが駄目
既成概念とか、常識といったものがある。面白いものを作るためには、ある程度そういった「型」をぶっ壊していくのが必要なんだなーと、最近思うのです。
本当に「そうじゃなきゃ駄目」なんすかそれ?
たとえば、最近描いた漫画なんですけど、『鋼鉄魔人ガルガンチュアの怪』というのがございます。
もはや若干懐かしいですが。
この漫画は、「話とかどうでもいいから、なんか勢いだけで漫画つくろう」と思って描いた漫画なのですね。漫画といいますと、起承転結ですとか序破急とか、いろいろと物語に「型」があります。もしくは、論理であるとか伏線であるとか整合性であるとか、そういった物語としての「常識」のようなもの。
そういうのを一切ガッサイ、シカトして描いた漫画です。結果として、いま1万回読まれているようです。僕が生まれてこの方生み出したコンテンツのなかで、もっとも読まれたものとなりました。とても嬉しい。
そんな経験を通じて思ったのは、「漫画って何でもアリの方が面白いんだなぁ」ということです。
もちろん、いわゆる「きちんとした漫画」も面白いですよ。伏線がしっかりしていたり、ものごとに論理があるような。むしろそういう漫画こそが王道であり、わかりやすいポップなものです。
ですが、それは誰かがやるよね、という想いも同時に抱くようになりました。そうなのです。きちんとしたものは、みんなやるのです。そういう意味でも、邪道に逸れまくるということは自分がやるべきことなのかもしれないと思うようになったのですね。
現に、ガルガンチュアの次に描いた『ゲルシュテンドルゴゴ族』という漫画は、ちょっぴりとまともな話になっていますが、ガルガンチュアほどの人気は得られていないように思います。ゲルシュテンドルゴゴ族という漫画も好きなのですが、ガルガンチュアに比べると勢いやグルーヴ感という意味では少し劣ってしまう面もあるのかなと。
うわ、なんだこれ という衝撃でありたい
僕は結局、「正体不明のもの」が大好きなのです。ギャグ漫画でいえば、ちょぼらうにょぽみ先生や大川ぶくぶ先生が大好きですし、ストーリー漫画でいえば西村ツチカ先生や荒木飛呂彦先生が大好きです。どの作家も、一コマ目から「なんだこれすげぇ」と思わせるような作品ばかりです。
正体不明である衝撃というのは、ある意味恐怖にも近い。人間がオバケを怖がるのは「得体が知れないから」だと思うし、その感情はすべての驚きに繋がるのではないかと思うのです。
というわけで、わけのわからんものを作りだしていきたいもんですな。音楽でいえばDeerhoofのような。
常識人であれ
つまりは、常識を打破していくのだという覚悟です。クリエイターにとって必須な意識であると思います。
常識人であることに劣等感を感じる必要はたぶんないのです。むしろ、常識人だからこそ破れる型が存在しているわけで。型を知っているからこそ、型破りというのが可能なのではないでしょうか。
きちんと絵を練習しない人間が生み出した謎のデフォルメは、確かに衝撃的な出来になるかもしれませんが、それはラッキーパンチです。運という不確定要素に頼りすぎるよりは、ある程度実力でねじ伏せていった方が続きますよね。そういうことです。
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