*

偉大なるあぶら身! 漫画の「無駄ゴマ」を考察する

公開日: : 最終更新日:2016/01/16 漫画について ,

「無駄ゴマ」に関するかとうひろし先生のツイートが話題に。

右に比べると、たしかに左のコマ割りは読みやすいです。しかし、人によっては「だからこそ右側にも味がある」という意見が出ているようです。

「無駄ゴマ」はあぶら身である

上記のツイートから思い出すのは、漫画家・福島聡が語るコマ割りにおける「あぶら身」でした。リンク先のインタビューでは、無駄ゴマのことを「あぶら身」と呼んでおります。別にいらないけど、あるとオイシイ部分という意味です。

 

福島聡はけっこう、無駄ゴマと呼ばれるコマを入れる傾向にある作家で、それが独特のリズムを生んでいるといえます。

 

そう考えますと、無駄ゴマというのは決して無駄なだけではないように感じますね。効率よく、テンポよく情報を伝える目的では、無駄ゴマを省いたスマートなコマ割りに軍配が上がります。しかし、漫画を読む目的ってそれだけじゃなくて、時間つぶしであったりとか、ただ単純に楽しみたいだけというのもあります。

 

ですので、無駄ゴマは決して無駄じゃないというお話になってくるわけです。

 

無駄は作家性である

ブリーチやバキ、カイジなんかはひたすらにコマがでっかくて、ストーリーの進みが遅いという批判をされることが多くあった作品です。今はそういうサイトをめっきり見なくなりましたのでわかりませんが、根本的には同じようなことを言われているのではないかと思います。

 

コマがデカい漫画が批判される反面、コマが多い漫画もまた、批判の対象となることがあります。ご存知ワンピースです。国民的人気漫画であり、名実ともに日本一の漫画であるといわれるワンピースですら、そういう批判を受けるわけです。

 

受け取り手それぞれの感性のせい、と言ってしまえばそれまでなので言いません。それよりも、重要なのは作家のリズム感を楽しむことじゃないかと最近は思います。

 

ワンピースは、描き込みがジャスティスである作家性だからこそ、一枚の絵だけでなくコマ割りもああなるし、ブリーチ・バキ・カイジはああいう作家性なのです。

 

そこを批判する自由こそあれ、別に作品はそれでいいじゃねーかと、個人的には考えています。作家性を楽しむというのが、プロの漫画を読むことであるとも言えるからです。漫画じゃなくても、映画でも小説でもそうなんじゃないかと思います。

 

村上春樹に緻密なサスペンスのトリックを要求したりすることがチガうように、村上春樹を読むときは村上春樹を体験したいから読むのです。そういうことです。

 

コマ割りに正義などない

高橋葉介なんかは、1ページ2コマが続く短編とかザラに描いています。平野耕太も1ページに長方形のコマが4つとか、割とシンプルなコマ割りが目立ちます(ついでに言うとタチキリが少ないのも美学といえるでしょう)。

 

コマ割りは作家性の出る部分だと思います。かといって、そこに拘りすぎても伝わるものがそこまで多くないので、結局あんまり考えずに直感的に割っていくほうがいいんじゃないかという風に考えております。

 

冒頭に挙げたツイートの例も、1ページという単位で見れば「見やすい」「見やすくない」という基準で語れますでしょうが、これが40ぺージ続く短編なのか、それとも300ページの単行本として続くのかと考えるだけで違ったかたちになると思います。

 

その前後のページでコマがデカいのなら、メリハリの意味で細かいコマ割りをすることはリズム作りに貢献してますし、逆もまた然りです。

 

漫画全体の進行にとって必要ならば、不要なコマ割りを「無駄ゴマ」であると切り捨てることはできないのではないか、と思います。

 

 

時空を超える胸キュンSF、福島聡『星屑ニーナ』は超おすすめです。

関連記事

読切『ゲルシュテンドルゴゴ族』がジャンプルーキーで読めるぞ

出来ました。昨日の夜。新作読み切り15ページでございます。   &nb

記事を読む

【漫画】ネームの勉強・参考になる漫画

ネームの切り方が悪いと結局漫画はどうにもならないというカベに直面し、チンパンジーのようにカベ

記事を読む

漫画原稿の作業効率を上げる3つの工夫

漫画やイラストの作業効率を上げたいと考え、毎日いろいろやってます。   とくに

記事を読む

『漫勉』にあって『マンガノゲンバ』になかったもの

(画像はこちらから) 『浦沢直樹の漫勉』。最近でもっとも面白いテレビ番組なんじゃないか

記事を読む

完璧主義よりもスピード感で生きていきたい

最近、1ページ完結の漫画を1日に1枚仕上げている。   「とりあえず仕上げ

記事を読む

漫画家はもっとセルフブランディングするべき

セルフブランディングって何だよォォォォ!!!! という声も聞こえてきそうなので、説明いたします。別

記事を読む

王様達のヴァイキング8巻感想(ネタバレ含む)

photo by http://urx2.nu/n7uF[/caption] 『王様達のヴァイキ

記事を読む

漫画のネームが進まない!!という時の3つの対処法

漫画のネームが進まない。どうにもこうにも行き詰まってしまう。   漫画を描いた

記事を読む

映画バクマン主題歌が『新宝島』って良いよなぁ

新宝島と言やぁよぉ 手塚先生ですよ。   漫画の歴史を変えた決定

記事を読む

漫画で金を得る方法~web漫画の収益化~

最近新しい肩書として、「インターネット漫画マン」というものを考えました。Twitterのプロフにしま

記事を読む

数字よりもエモい人々を大切にしたいという話

フォロワー数がリアルタイムで減ったのを目の当たりにしてしまうことがごく

行動するとなんか起こるんだなぁと考えた話。

ベルリン在住イラストレーター高田ゲンキ氏の漫画を読んでおりました。

ドレスコーズの名盤『平凡』は時限爆弾か、あるいは。

(画像はcinraさんから) ドレスコーズの2017年作

ラスティックストンプ(Rustic Stomp)が流行るのではないか、という希望的観測

By: VICTOR VIC[/caption] 音楽にはオー

スーパーマーケット☆フィーバー 元ネタ解説白書

カルロス袴田です。新曲『スーパーマーケット☆フィーバー』の元ネタ解説な

→もっと見る

PAGE TOP ↑