コードを分析してSHISHAMOの魅力を伝えんとする記事
SHISHAMOというバンドがすげーな、と思うので楽曲をすこし分析しました。
コード分析ということで少し専門的になりますが、興味のある方はどうぞ。
(画像はSHISHAMO公式サイトより。)
SHISHAMO「明日も」のコード分析
コード進行に関してはこちらのサイトを参考にしました。
まず面白いのが、Aメロ~BメロのキーがC#で、サビだけGに転調していることです。
けっこうグイっとした転調ですので、上手にやらないと違和感の残る転調になってしまいそうです。
わりと自然に転調するなら、C#→A#とかが普通かと思います。
~Bメロ編~
転調のカギを握っているのは1:20~からの進行で、「今日もゆく~」って歌うあたり。
ここのコード進行がF#→A→G#って動きです。
先述したとおりここでのキーはC#なんですが、このキーにAのコードって普通は入らないヤツなのです。
そのため、C#のキーで進行するなかにAが登場すると、聴き手は「ヌッ?」と違和感を感じることになるわけです。
もちろんこのAは意図的に入れられたもので、その直後でザクザクと繰り返すG#→A→G#という曲中のアクセント的なフレーズとして機能しています。
つまり、このAが突如現れたことによって「今から何かが起きるぞ」という予告のような役目を果たしているともいえるでしょう。
実際に聴いていても、ここで曲の景色がすこし変わると思います。
~サビ編~
で、サビは開幕からGのコードです。開放的な感じ。(1:26~)
からのB7へと動くんですが、このⅠ→Ⅲという動きはわりとメロディアスな邦楽ロックでは見る進行です。僕もよく使います。
一例をあげるとエレカシの『今宵の月のように』の歌い出しとかはコードまで一緒ですね。
Ⅰ→Ⅲの進行は安定したコードからいきなり「キュンっ…」となる切なさを感じさせる進行であると言えましょう。(個人の感想です)
で、そのあと(1:37~)王道進行っぽいモノがひょいっと挟まれます。
これがC→Cm7→Bm7→E7となっておりますが、これがまた気持ちいい進行です。
通常のひねらない王道進行だと、C→D→Bm→E(セブンスはお好みで)という感じなのですが、「明日も」の場合2番目のコードがDではなくCmになっております。
ギターで弾いてみると、CからCmに指一本の変化でうつり、そこからBmへ下がっていって、E7のオープンコードまで下がります。
なんといいますか、この下降していく美しさです。理論的に説明がつかないのが申し訳ありません。
とりあえずまぁ、DをCmへと置き換えることによって生まれる、あざとくない王道進行が聴衆の心を掴んでいるわけです。
サビの一部に王道進行を含む、というのは割とあると思うんですが、こういう気の利き方は本当に気持ちがよくて良いですね。
SHISHAMOのコード分析 まとめ。
あんまりオシャレなコードって使われてないんですよ。テンションコードとか。
非常にシンプルなメジャーとマイナー、あとセブンスをちょっと含むぐらいのわかりやすいコードたちで構成された楽曲です。
それにも関わらず、非常に巧みに情景的な楽曲に仕上がっているのは、転調とそれをささえるフレージング、そして決めるとこで決めてくる質実剛健なコードワークが理由なのかなと思います。
サビでぱーっと視界が開けるような転調は本当に、聴いてて気持ちがよいですね。
個人的にいちおしの女性ボーカルバンド、作曲家です。
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