『人を操る禁断の文章術』に震えろ
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最終更新日:2016/01/16
本について 人を操る禁断の文章術
文章を書くのは面白い。とりわけ、作家を目指すわけでもない僕ですが、最近は文章にようやく気を遣えるぐらい、余裕が出てきたような気がする。
そんなわけで、最近は文章の書き方を少しずつですが、勉強しております。別に、正しい日本語ガーとか言うつもりはありません。ただ、自分の言いたいことが伝わるように、より効果的な「見せ方」を習得したいと思ったわけです。
そんななかで読んだ『人を操る禁断の文章術』が、とても良かったのです。
著者はメンタリストDaiGo氏。すげー名前。
文章のもつパワー
「文章」ってきくと、みなさんはどういうイメージを思い浮かべるでしょうか。イメージもクソも、文章は文章だろって思うでしょうか?
僕もそんなところでした。文字情報というのは、インターネットがより普及してもなくならないだろうなーということは、うすうす思ってはいましたが、画像や動画メディアに比べて訴求力が弱くなっているんではないか、とも考えていました。
だから、つまるところ、文章というものを侮っていたフシがあったのです。だって、日本語話せれば普通書けるじゃん。みたいな。
でも、やっぱ文章ってすげー面白いツールだと思いました。『禁断の文章術』の冒頭でも語られていますが、「文章は、読んだ人間に想像力をつかわせる」ものなのです。
絵や音楽と違い、文章は「言葉のみ」の勝負となります。そこには余計な情報が一切なく、言葉だけが存在している。でも、そこから受け取るイメージって千差万別なのです。まずそれが凄い。「想像力をスポイルしない」というヤツです。
たとえば、「世界でいちばん美味しそうな肉を思い浮かべてみてください」という文章。ここで読者が頭に思い浮かべる肉は、牛肉かもしれないし、鶏肉かもしれない。豚肉かもしれないし、魚を想像する人もいるかもしれない。イメージというのは、受け取り手によってまったく異なる、あいまいなものです。でも、写真やイラストで伝えるよりも、頭の中にポンと浮かんだその肉こそが、その人にとっては「世界一の肉」となるわけです。この「イメージの想起」を可能にするのが、文章のもつパワーといえるでしょう。
『人を操る禁断の文章術』は、そんな「想像力」の話から、具体的なテクニックまでが語られております。
「自分が何を言いたいか」だけが文章じゃない
なかでもすげーと思ったのは、文章の目的について。たとえば、本のレビューをするにしても、レビューを読んだ人間に「この本読みたい!」と思わせることが必要です。そういった文章を書くためには、「自分が言いたいこと」だけを書くのではなく、相手の心を動かし、「読みたい!」と思わせる文章の書き方を考える必要があります。
「伝わる」だけでは物足りないのです。読み手の想像力を刺激し、心を動かし、「やってみたい!」と思わせる。これが「禁断の文章術」の正体のようです。なんとも強烈なタイトルで、いかにもだなーと敬遠されるかもしれませんが、内容はかなり実践的でためになります。いわゆる「コピーライティング」という分野になるのでしょうか。
この本が良いなーと思う点は、最近の本だからというのもありまして(今年出た本です)、挙げられている例が「こういう広告見たことあるなー」と思わせるモンばっかりなんですね。Web広告なんかでは、本当によく見かけるタイプの例が盛りだくさん。それだけ、多くのライターが実践しているノウハウであると言えますし、考え方として普遍的なものであるともいえます。
3章で使われる「人を動かす7つの引き金」とか、まずこのタイトル自体がキャッチー。こういう記事のタイトル、よく見ますよね。そういったフレーズ作りの参考にもなります。もちろん内容自体も勉強になるよ。
文章を読む相手を想定する
全編を通して思ったのは、「目的をしっかりと定めた文章」を作ることが一番のテーマとなっていることですね。マーケティングしたもん勝ちということでしょうか。SNSを使ったターゲットの情報集めとか、「そういう広げ方するのかー」と感心しました。いまやネットを活用すれば、かなりの情報収集が可能だということもいえます。便利な時代です。
ブログでいえば、その記事を読んで欲しい人は、どのような人かを考える。10代なのか20代なのか、それとももっと上なのか。学生なのか社会人なのか、フリーターなのか正社員なのか、ニートなのか。そういった目的ごとに、コンテンツにどんな内容を加えていけばよいのか、というリサーチを徹底的にします。この本で言われているのは、「絞ったほうがいいよ」ってことです。
個人的にはこれはけっこう反省点かなーと思います。僕のブログは基本的に、誰を想定しているのかあんまり考えておりませんでした。ブログ全体はそういうのでもいいのですが、記事ごとにはターゲットや目的を拘ったほうが、響く内容になると思います。頑張ろう。
関連:ブログを書く理由。誰かにとって面白いもんでありたいのだ
まとめ
実に参考になった。この手の本はちょくちょく読んでいますが、内容が詰まっているうえに無駄がないのは珍しいです。こういう本って、クソ面白くない自分語りで水増しされているものも見かけますが、そんなことなかった点もグッドです。文量もスマートで、ゆうべ衝動買いして、空き時間で読み切れました。
文章書いてみたいなーという方には、良い手引きになるかと思います。Kindleで1400円と、「たっけーなぁオイ!」と思って若干尻込みしましたが、おつりがくるほど取り返せるレベルの内容。おすすめっす。
少なくとも、2万ちょいするヘタな情報商材を買うよりは、安いし得です。あれのピンキリ具合に比べれば。
個人的にもう一つ、文章の書き方系でおすすめはイケハヤ御大のこの本ですね。
『武器としての書く技術』。こちらはネットメディアでの文章で、いかに注目されるかといった内容に特化。ブロガーはこっちも併せて読むと面白いですわよ。
文章が魅力的になって、困ることはないです。これは断言できます。LINEもツイッターもメールも使わないよ、って人はいませんし、日常的に文章でコミュニケーションする率ってものすごく高まっています。そして、これからも減ることはないと思います。だったら、文章力はあって損しませんので。
文章に限らず、コミュニケーションを有利に進めたいという人にも参考になると思いますぅ。
追伸:漫画描いてます。よろしく
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