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大森靖子はイロモノじゃねぇ、本物だ。

公開日: : 最終更新日:2016/01/16 音楽について

大森靖子。

 

 

この記事で何が言いたいのか、といいませば、大森靖子は本物のロックであり、パンクであり、アイドルであるということです。

 

 

はっきり言ってこれ以上の言葉なんていらないし、これ読んだらさっさとライブ行くなり音源入手するなりしてくれたほうが、よっぽど良いんじゃねーかと思う。それだけ、彼女の音楽は凄いのだ。得も言われぬ、呪いのようなパワーのある音楽だ。一度侵入を許してしまえば、憑りついて離れないような、そんな音楽だと思う。

 

 

町田康が言ってたけど、「良い文学は、二日酔いのように、後からやってきて身体から離れない」のだという。僕はそんな感覚を、大森靖子の音楽から感じるのである。

 

 

というわけで、大森靖子の凄いトコを延々書き綴ろうと思う。

 

 

血まみれで希望を歌い、立ち上がるかのような。

何がすげーかって、新曲『マジックミラー』が凄いです。

大森靖子の楽曲って、強烈なネガティブ性と、果てを知らない自己顕示欲を歌ったものが多いです。それらを遠くから眺める目を持ちながら、ものすごく血の通った辛さとして歌詞に落とし込んでいるのが大森靖子という人だと僕は分析しております。

 

 

だからこそ、大森靖子の書く歌詞は、ひたすらに生臭い。良い意味で。びっくりするほど生々しい言葉選びなのです。

 

 

『マジックミラー』の話に戻りますと、「ピンク」という言葉がモチーフとして耳をひきます。

 

モテたいモテたい女子力ピンクと

ゆめゆめかわいいピンク色が

どうして一緒じゃないのよ あーあ

汚されるための清純じゃないわ

ピンクは見せられない

 

そんでこの辺も凄い。

 

彼氏いないとハブられるし

夜じゃなきゃバイトもできないし

どうして女の子がロックをしてはいけないの?

 

思うに、女性というのは大変です。思春期を経て、「女性」として振る舞うことを社会から強制される圧力というのは、空恐ろしいものがある。男として生まれた僕は、「男らしく」なろうとは別に感じなかったし、周りからも特に言われなかった。

 

 

でも、女性は「女性」であることを強制されてるよなぁと感じるのです。制服はスカートだし、ある程度の年齢になればメイクもしなければ社会的に受け入れられないでしょう。それって、本人が望んでやっているのかと言われたら、僕にはそうじゃない風に思うのです。

 

 

上で引用した『マジックミラー』の歌詞は、そんな「女性」のなかでマイノリティとして生きている人々の痛みを言い当てているように思える。自分の中での「女性」と、社会が求める「女性」のズレが、ピンクという言葉に込められているような、そんな感じです。

 

 

そして、サビ。

 

あたしのゆめは君が蹴散らしたボロボロのLIFEを

掻き集めて大きな鏡をつくること

 

僕は崩れ落ちました。

 

 

こんな歌詞を書けるのは、誇大妄想家か救世主のどちらかです。そして、大森靖子という人については、僕はどっちもだと思う。それがたまらなく頼もしく、美しくて、もうこのサビを聴くたびに僕は全身に何かが走ります。表情まで伝わるような声の振り絞り方も、たまんねぇです。

 

 

サビと同時に『マジックミラー』の意味がようやく判明するわけです。ともすればちょっぴり卑猥な言葉選びである「マジックミラー」が、「あなたを映して肯定する、魔法の鑑」へと変貌する瞬間。これが名曲じゃなくて何だろうか。「ピンク」といい、言葉の多面性を感じさせる作詞は、本当にクレバーだと思う。

 

 

そして2回目のサビ。

 

あたしの有名は

君の孤独のためだけに光るよ

 

泣いてまうわ!!

ご丁寧に1番から韻まで踏む始末。

 

 

というわけで、ある程度セーブしないとこの曲の話だけで記事が終わってしまう。『マジックミラー』についてはこの辺にしておきます。

 

 

貪り尽くして膨張する音楽

この曲が、本当に頭から離れない。

 

 

『ノスタルジックJ-POP』という楽曲は、楽曲の雰囲気と歌詞もあいまって、酩酊しているかのような恋心の不安定さが存分に表現されていると思うのですが、どうでしょうか。恋心という一言では説明つかないくらい、性欲とかメンヘラとかいろんな要素が詰まってはいるんですが。まぁ。

 

 

前述した「言葉の生臭さ」が、この曲ではマックス味わえます。お得。「多機能トイレ」とか「笑笑でもいいから帰りたくない」とか、こんな歌詞を歌う人間にはそうそうお目にかかれません。一瞬ドキっとするような、謎のワードがものすごい深読みを生む。

 

 

あと、この曲に関してはBPMが遅いにもかかわらず、歌詞が与えるイメージがどんどん積み重ねっていくので、異様なドライブ感があるというのも凄い。

 

 

歌詞のドライブ感、テンションを語るうえではこれは外せない。『over the party』。歌詞の話題もいきなり、マイルドヤンキーについてから何から、とっ散らかりすぎて頭がこんがらがる。そんな魅力である。

ものすごくパンクでありながら、女であることを最大の武器にしているところも大森靖子という人の魅力だ。女性でしか持ちえないであろう感情が歌われていた『マジックミラー』であるとか、30過ぎのドルオタをサビにもってくる『over the party』。「女であること」の苦悩を歌いながら、彼女の音楽の魅力はやはり「女であること」に他ならない。そしてそれが恐らく自覚的な所業であることに、僕は戦慄する。

 

 

その知性は、音楽的なごった煮感とも同期している。『ノスタルジックJ-POP』のサビ前、歪んだギターがガコっというあたりなんかは、やっぱりクリープを意識したんだろうなぁとか。アルバム1枚通して聴いても、楽曲の幅広さに開いた口がふさがらない。

 

 

決してそういった引用のような要素が、パクリという浅はかな言及で片付かないのは、やはり知性を感じるからなのだろうと思う。それも、生半可な知性ではなく、音楽や文学、サブカルといった莫大な情報量を貪って膨張するかのような。暴力的な知性。

 

 

まとめ

この記事、1週間ほど構想してたんですが、文章化するのに消費する体力と気力がヤバい、ということが容易に想像できてしまったので、先延ばしにしていました。すんません。でもだいたい思っていることは伝わったと思う。

 

 

椎名林檎からの文脈で語られることも多い人だし、実際影響もあるんだろうけど、僕個人としては椎名林檎よりもブルーハーツとか、ひいてはブルーハーブみたいな、宗教じみた強烈なオーラのあるアーティストだと思う。

そんだけ化け物じみたエネルギーを感じます。

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